例会山行 秋合宿 裏剱

仙人池越しの裏剱 モルゲンロート

例会山行 秋合宿 ~裏剱~

山 域:北アルプス 裏剱
期 日:9月16日~19日
参加者:L かわじ SL fuku なべ いっしー you ぎりちゃん 輝男 ヨーコ 
コースタイム
16日 室堂8:40・・・9:30雷鳥沢キャンプ場9:45・・・11:45剣御前小舎
17日 小舎7:15・・・7:55剣沢キャンプ場8:20・・・8:25剣沢小屋9:40・・・12:20真砂沢ロッジ12:50・・・14:15二股14:23・・・17:50仙人池ヒュッテ
18日 ヒュッテ6:07・・・9:07仙人温泉小屋9:07・・・14:26仙人ダム14:29・・・16:16阿曾原温泉小屋
19日 小屋6:45・・・9:30折尾谷9:30・・・11:20志合谷11:30・・・13:35水平歩道終点13:35・・・14:30欅平駅

 第1日目(16日)
 天気予報によると雨とのことだった。前日もかなり降った。剱御前小舎に8人のところ6人しか予約が取れず、2人ツエルト泊の予定だったが、前日にキャンセルがあり8人小舎に泊まれることになった。以前、別山尾根から剱岳、源治郎尾根から剱岳に登ったことはあるが、裏剱は初めてでどんな景色が見れるのか楽しみだった。
 室堂からみくりが池を通り、地獄谷を見ながら雷鳥沢キャンプ場に向かう。雷鳥沢からゆっくり登る。何人も抜かれたが剱御前小舎には12時前に着いた。雨に降られなくてよかった。標高2700メートル以上あるので寒い。まだ小舎に入れないか聞いてみると小舎に入ることができた。満室だったため部屋は狭かったが全員泊まれてよかった。
 夕食まで時間があるので談話室で飲みはじめた。窓から八ツ峰が見えた。14時くらいから雨が降りはじめ、かなり降ったが翌朝には星が見えるほど天気が回復した。(記 ヨーコ)

 第2日目(17日)
 合宿2日目の今日は8時間超の長い一日になりそうだ。朝食を済ませて6時に出発!・・のはずであったが、思いもよらないトラブルが発生した。fukuさんの靴が靴箱から消えてしまっていたのだ。小舎の方の協力で靴と人の突合をした結果、fukuさんの新品の靴とは似ても似つかない靴が最後に残った。その靴の持ち主は韓国のツアー客の物で早朝に前剱に向かったということが判明した。日本語が通じない中、何とか連絡をつけ二転三転して剱沢キャンプ場で靴の交換ができた。それにしても、靴の形が全く違うし、何といっても「fuku」という名札を外して履いて行ったのだから、履き間違えとは、ちょっと考えにくいと私は思う。
 そんなこんなで9:40に剱沢小屋を再出発した。剱沢雪渓は通行止めになっていたため、右岸を高巻きする夏道を進んだ。左手下方に雪渓の大きな穴が見えて、あそこに落ちたら・・と緊張しながら進んだ。途中、草地の斜面の何でもないところでヨーコさんが5mくらい滑り落ちたが自力で登り返してセーフだった。常に緊張感を保って転ばないように歩かなければ、と改めて思った。
 あれが源次郎尾根とかわじさんから教えてもらいながら進み、長次郎出合で雪渓を横断して左岸に渡った。12:20に真砂沢ロッジに到着したときは正直ホッとした。そのあと二股吊橋までは安心できるかと思いきや、途中、川の岸壁に着けられた丸太2本くらいの足場があるところを両手で鎖を握って横歩きして通過したときはスリルがあった。
 二股吊橋を出発したのが14:20、これから仙人池ヒュッテまで急坂を含む登り3時間。日没前には小屋に着きたい。危険個所はなく、体力勝負なので、私としては正直言って安心だった。きつい登りが続くためか8人のパーティーは途中で4人づつに離れ始めた。やっと仙人峠に到着し登り終了、17:15に仙人池ヒュッテに到着した。
 この日、剱御前小舎を7:15に出発し、剱澤小屋で靴待ちが1時間強あったので、9時間弱歩き通したことになる。小屋到着が遅くなったのと、全員お疲れのため、反省会・飲み会をせずに夕食後すぐに床に就いた。リーダーのかわじさん、先頭を務めたfukuさん、思い出に残るいい山旅でした。ありがとうございました。(記 なべ)

 第3日目(18日)
 朝5時からの朝食を済ませると、外に出て、仙人池へと向かう。今回の山行のハイライト。写真で見たまさにその景色がそこにあった。仙人池に映る裏劔岳のモルゲンロート。『この景色を見るためにはるばる来たんだ。』
 仙人小屋の方から「仙人温泉小屋までは滑りやすいから滑落事故が多発しているので、注意するように。」と言われた。ヘルメットを着用し、トンネルがあるとのことで、ヘッドランプを手近に用意して出発した。沢沿いの急下降で段差が大きく、石がゴロゴロとしており、浮石が多いので、注意しながらゆっくり進む。やがて、前方の対岸から煙が上がっているのが見え、仙人温泉のようだ。温泉小屋の跡地を通り過ぎ、川に降りると、仙人温泉の露天風呂があった。
 仙人温泉小屋から仙人谷ダムまでが雲切新道で、ハシゴとロープが多い難路である。登りだったらもっとつらいだろうが、下りでも結構厳しい。やがて川の対岸下方に送電用のトンネル出口を思われる人工物が見えるようになり、視界に仙人谷ダムが見えたときはほっとしたものの、まだまだはるか下方で、その先が長かった。最後は、何段にも連続した垂直に近いはしごを下り、ようやく仙人谷ダムに着いた。
 なんと仙人谷ダムの事務所の中に入り、トンネルの中に入る。トンネルの分岐に線路があり、トロッコ列車がいた。さらに進むと、湿った熱気と硫黄臭を感じる場所があり、吉村昭の小説「高熱隧道」の片鱗を感じることができた。トンネルを出ると立派な関電の宿舎があり、住人の方々の生活がどのようなものなのかを思わずにはいられなかった。
 ここから阿曽原温泉まではもう少しと思いきや、さらにハシゴや階段が連続する急登を登り、岩がゴロゴロした急下降を下った。ようやく小屋が見え、小屋の女将さんが「おつかれさまー。」と手を振って迎えてくれ、とてもうれしかった。
 男女1時間交代制の時間を待って、小屋から10分ほど下ったところにある露天風呂に入った。結構大きく、ちょうど良い湯加減で、石鹸も使えた。『この風呂に入るために、ここまで来たんだ。』
夕食時にご主人のから、「今日は混んでいないので、残念ながらカレーではありません。カレーが食べたかったら、混んでいる時に来てください。」と説明があったが、アジフライとコロッケも大変おいしかった。下の廊下が開く10月上旬は大変な混雑になるそうである。
 夕食後、ご主人の生解説で、NHKの特番『山に生きる 北アルプス 立山黒部』のビデオを見た。阿曽原温泉小屋の主人 佐々木泉さんや仙人池ヒュッテの女将 故志鷹静代さんのご活躍とご苦労や関電の工事の過酷さなどが描かれていた。過去からの多くの方々のご努力により、我々が楽しく登山ができていることにあらためて感謝したい。(記 ぎりちゃん)

 第4日目(19日)
 あっという間の最終日。昨夜ビデオで見た、小屋の皆さんが苦労されて整備された細い丸太道や岩壁を削って作られた「大太鼓」を行くということで、布団を畳んで朝食前にハーネス装備の確認をした。お話好きな小屋の名物ご主人の「鉄塔とかいろいろ建てるのに歩荷に駆り出されて~」等の話に見送られ出発。
 水平歩道は高低差こそほとんどないものの、一歩踏み外せば文字通り真っ逆さまに崖を転がり落ちてしまうので雄大な景色もなかなか堪能できない。歩きながら、足場が比較的危なくないところで安全かつスムーズなカラビナの付け外しを練習し大太鼓に備える。
水平歩道が終わると一気に急な下りになった。
 今回の山行は17日後半から足の調子が悪く、筋肉痛も手伝って下り道が本当におぼつかない。fukuさんにサロンパスをいただき、youさんから冷却スプレーや膝サポーターを借り、輝男さんから手ぬぐいを借りて膝上を縛り、夜はストレッチを入念にし…でも、膝が痛い訳でも攣る訳でもないのに体重が支えられず、いつもはなんて事のない段差もクライムダウンで進まざるを得なかった。さらに、急下降になったあたりで次第に雲が出始め、雨がぱらついては止み、を数回繰り返したあと本降りになった。ただでさえ怪しい足取りに、雨で悪くなる下り道…。遠くに駅が見え、発車アナウンスが聞こえてくる頃から時計とにらめっこしつつ、「一番怪我が多いのは帰りの下り」を唱えながら汗と雨でびちゃびちゃになって駅の改札に駆け込んだ。
 宇奈月温泉行の電車は最初1両をメンバーで貸し切りだったので、濡れた体を拭きつつ荷造り。観光案内のアナウンスを聞きながら流れゆく車窓の景色を見てほっと一息。
知識も経験もない私が体力ダウンするとお荷物でしかないので、次回からサロンパス等対策グッズを携帯し、事前トレーニングもしっかりするように頑張ります。リーダーかわじさん、皆さん、貴重な山行をありがとうございました! (記 いっしー)

 裏剱秋合宿 総評
 いつも雑誌で見る仙人池からの裏剣を見たい、大学の山岳部時代10日間ベースを張り岩登り三昧だった真砂沢に行ってみたい、若いころ登った奥鐘山西壁を見てみたいと思いfukuさんなべさんいっしーさんに声をかけ計画が始まった。結果8名まで参加者が増えての秋合宿になった。途中トラブルや踏み外しでの5m滑落やザック落としなどがあったがけがもなく無事終えることが出来た。足並みは標準より遅かったが縦走は歩きとおすことが一番で急ぐことなくケガしないのが大事だと思う。また一般道でも岩登りの基本やロープワークは出来た方がいいと思うので岩トレにぜひ参加をお願いしたい。最終日はちょっと降られたが天気も良く最高の合宿だった。長い行程だったけれども参加者の皆さんに感謝です。(記 かわじ)

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2023年09月19日