北穂高岳東稜

 

個人山行 北穂高岳東稜

日 程 :7月24日(水)、25日(木)、26日(金)、27日(土)
参加者:ハル ピーちゃん えんどう Taka
     

1日目 上高地バスターミナル12:30→横尾山荘15:50
 何とか快方へと願ったが、梅雨前線が停滞する上高地へ。先行しているリーダーから「悪天のため計画変更」の連絡をもらう。変更した「北穂東稜」も日頃練習していた目標の一つ。時折横殴りにふる雨のなか、横尾山荘に着くころ雨は上がり、松本に前泊したハルさんとピーちゃんさんも先ほど着いたばかり。涸沢小屋と横尾山荘の予約を直前で確保するのに苦労して頂いた。初めて泊まった横尾山荘は立派な施設で、メンバーで豪華な夕食を囲んだ。
2日目 横尾山荘6:20→涸沢小屋12:10
 湿度100%の横尾谷。レインを着ると蒸し暑く、雨が止んだかと脱げばまた降られるの繰り返しで涸沢を目指す。せっかく時間があるので、ゆっくりのんびり、登山道脇の花々を鑑賞しながら歩く。ハルさんがときどき図鑑を取り出して確認しながらシナノオトギリ等々花の名を教えてもらった。私はツガザクラとアオノツガザクラを混同していた。えんどうさんはエンレイソウが気に入った様子。涸沢小屋の夜は土砂降り。最初の計画の奥穂東南陵中止は残念ながらの正解であった。
3日目 涸沢小屋5:00→東陵のコル14:10→北穂高小屋15:30
 涸沢小屋のテラスは白くモヤっていたが、歩き始めるとドンドン太陽のヒカリが強くなって昨夜までの不安定な天気から一転し青空。ただし午後からまた崩れる予報。北穂の山頂まで無事辿り着きたい!
南稜の分岐点前から登山道を離れ、ハーネスを着けて、ゴロゴロ岩が不安定に積み重なった斜面を進む。見上げると東稜のドラゴンがトゲトゲの背中を横たえている。足を置くたびにボロボロ崩れ落ちる斜面の両側には夏の花が競うように咲いている。振り返ると前穂のトンガリが青空に誇らしげに並んでいる。常念、大天井に続く稜線はあきれるほどクリアだ。
 いよいよロープをつないだ登りの始まりだ。ハルさんがリードし、えんどうさんが続く。二番手にぴーちゃんさんがリードし、私が続く。練習のゲレンデとは比べものにならない緊張感。ロープをうまく送れない。焦るがうまくいかない。「オッケー!」とぴーちゃんさんの声が聞こえると、ワクワクで登る。途中で小動物のフンをつかんでしまった。そんなことで動揺する私に「そこらの笹の露で振り払って」とピーちゃんさん。「お邪魔してます~通してください」と通過。夢中のうちに随分時間が過ぎていた。いよいよ最後の懸垂下降。ロープをセットして下降を始める最初の足場は、崖を少し回り込まねばならない。下を覗き込まずに、そのスタンスに足が届くことだけを念じて思い切って体をロープに預けた。下降を始めるとハルさんが下から誘導してくれた。それがなかったら冷静さを失っていたと思う。しどろもどろのマルチピッチを終えて、北穂の頂上へ向かう。ほっとして目に入ってきたのは小さな花たち。コイワカガミやチングルマ、ミヤマリンドウ・・・急で不安定な斜面は続き、次第にモヤで視界が悪くなってきた。やがて北穂の小屋のテラスが霧の向こうから近づいてきた。とうとう「穂高」の頂に届こうとしている…胸がいっぱいになる。山を歩き始めて10余年で初めての「穂高」。小屋の軒先に入ったとたんに大粒の雨が降り出した。
4日目 北穂高小屋7:15→涸沢小屋12:30→横尾15:10→上高地バスターミナル18:15
 北穂高山荘は、長い年月と風雪と岳人の想いで磨きこまれた美しい山小屋だった。居心地の良い夜を過ごした翌朝、朝食をゆっくり味わい、テラスでコーヒーを飲んでいるうちに霧が晴れて槍の穂先が見え始めた。出発して直ぐの山頂を過ぎ、滝谷を覗き込むと、冷たい風が吹き上げてきて草木も見えず、厳しい世界だ。太陽に焼かれながら南稜を下る。えんどうさんの体調が悪化し、辛そうだ。登り下りの登山者が多いなか、ゆっくりと下った。本日中に帰宅せねばならない私は、涸沢がだいぶん近づいてきた頃、単独で下山を始めた。涸沢小屋でラーメンをかきこんで、ひたすら下った。横尾でタクシーを電話予約できたので、落ち着いて歩き続け、新島々経由で帰宅した。
 東稜にへばりつきながらときおり眺めた、遠くの山の連なり、眼前のそそり立つ岩峰、厳しい環境で「生」を凝縮した花々の姿。そこに身を置くことのできたしあわせ。
リーダー、メンバーの皆さま、感謝いたします。(記 Taka)

 今回はバリエーションルートデビューでしたが、肝心のクライミングだけでなく、体調不良(高山病)で皆様、とくにハルさんには何から何までお世話になりました。ありがとうございました。3日目の北穂東稜のときは、まだ元気でしたしハルさんのセカンドなのでそこそこ気楽に(でもそれなりにてんぱりながら)楽しく登れましたが、北穂小屋からの下山時は荷物を皆様に分担して頂きよたよた歩く始末。いろいろ反省点もあります。次につなげたいです(記 えんどう)。
 

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2024年07月27日